要請調査票の見方について

応募前に留意すべき事

・要請調査は本当の参考程度
・実際の状況は変わっている可能性大

海外青年協力隊の案件応募はまず要請調査票を見て自分に出来そう、あるいはやってみたい要請に応募することになる。この要請調査の見方のポイントをお伝えする。

勤務地について
まず最初に見るべきは勤務先がどこにあるか、これが最も重要と考える。なぜなら住む場所によってQOLが大きく変わるからだ。現在は片側一車線の田舎道程度でもグーグルマップでストリートビューを見ることが出来、要請先の地域がどのような場所であるかを確認出来る。勤務先が大都市にある方は問題ないが、問題は僻地に派遣予定の方だ。任地は「一定レベルの医療が受けれる病院から車で一時間以内」というルールに基づいて選ばれているようだが、最寄りのスーパーまで車で一時間という任地も珍しくない。どの国も大手チェーンのスーパーマーケットがあるはずで、そういったスーパーが徒歩圏内あるいは乗合バスなどで15分程度であれば生活には全く困らない。私の任地は比較的小規模ながらある程度の家電(電子レンジや冷蔵庫など)が買えるスーパーが赴任先から徒歩5分ほどの場所にあることが隊員として働く決定打になった。教員隊員は赴任先が僻地であるケースが非常に多く、冷たい飲み物を買うのすらエリアに2-3件しかない小さな商店に行かないといけない場合もある。一次選考通過後にどの要請で二次選考に進むか分かるので自分の赴任先の栄え具合は要チェックだ。

後の情報ははっきり言うとあまり見なくてよい。というのも書かれている事と実際の状況が違うパターンが多すぎるためだ。まず要請概要だが、「要請理由・背景」から始まりここからズレが生じる。これは要請を出すために現地の担当者とJICAの担当者が話し合い、要請を出してから実際にボランティアが来るまで2年ほどのギャップがあるためだ。以下に例を簡単に時系列で示してみる。

20年1月 VCが案件を作成するために派遣先責任者と話し合いをする
20年3月 案件内容がまとまり、春募集に案件を掲示する
20年10月 案件に対して合格者が出る
21年4月 合格者が語学訓練を終える
21年6月 合格者が実際に任国に派遣される
21年8月 隊員が現地での語学訓練を終え、派遣先で勤務開始する

といった流れだ。この流れは案件によって異なるが、どの案件も派遣先責任者がJICA職員と話し合い、隊員が派遣されるまで少なくとも二年は掛かる。この二年間の間に隊員要請をした派遣先責任者が派遣先に残っている場合はまれである。JICA側は引継ぎをしっかりしているが、いかんせん派遣先の引継ぎが超がつくほど適当なケースがとても多いのだ。派遣先で現地職員による引継ぎはほぼなされず、「引継ぎの引継ぎの引継ぎ」ぐらいになっている場合も珍しくない。よって「チーム活動を活発化するための助言を求めたく隊員要請に至った」などと書かれ実際に働いてみるとチームなんてなく、そもそもチームなんて前からなかったよ、みたいな事になる訳だ。JICA事務所側も派遣先とほぼコミュニケーションを取らないので担当者が変わってもロクに確認をしないし、「隊員が来る準備をしっかりして欲しい」などと掛け合う事はまずない。よって予定されている活動内容、使用する機材、配属先同僚といった情報もアテにならない。配属先にカウンターパートが居なかった、というようなずさんなケースはさすがに少ないが、そもそもカウンターパートが職場に週一回しか来ずまともにコミュニケーションも取れないような事例はある。

地域概況について

地域概況については 「安定」「不安定」などと書かれているが安定と言っても日本のような安定ではない。電気安定と書かれているエリアで数日に渡る停電が起こることは良くあり、不安定などと書かれている場合は電気が利用できない時間が7割ぐらいあると考えた方が良いぐらいだ。
例えば電気:不安定 水道:不安定 と書かれているような要請は週の半分は常に停電、水は歩いて10分の井戸に自分で汲みに行かないと入手できずその井戸水は煮沸しても飲用は白く濁っており不可、といった具合だ。ちなみに停電は雨が降る時に頻発し、雨が良く降る地域では停電頻発も雨水でシャワーや衣服の洗濯には困らないといったメリットデメリットもある。こういった任地の状況が適当に記載されているのはJICA事務所側が任地の調査をしっかり行っていない事に起因する。職員は任地を訪れ派遣先責任者と話し合う機会があっても、実際に隊員が生活するような住居には滞在せず現地民に簡単に聞き取り調査をする程度である。プライドの高い人が多いアフリカでは自国の文化や環境を誇張する傾向にあり、しょっちゅう停電があってもウソを付き、JICA職員も実際を知ろうとしないため地域概況についてはアテにしないほうが良い。しっかりと調べたい場合はSNSなどを通じて実際に住む隊員にコンタクトを取るのがベストである。

最後に一つ、要請概要に写真が掲載されているものと載せられていないものがあるが、この違いはどうみなさんに映るだろうか?答えは簡単、所属先がきれいな場合は写真が掲載され、そうでない場合は掲載されない。首都にある大学が勤務先である場合はとてもきれいな建物の写真が載せられて、道路すら舗装されていない田舎にある小さな学校の写真は掲載されないという事だ。JICA側は応募者に開示したくない(応募する事を躊躇わせるような)不都合な情報は基本的に提供しない。モロッコやチュニジアといったアフリカと言いながら途上国と言えるの?と思うぐらい発展している国の要請は所属先の写真が掲載されているものが多いが、エチオピアやケニア、マラウイのような貧しい国の要請では写真があまり載っていない。本当かよ、と思う方は国別の要請検索で見て頂ければ私の言いたいことが伝わるはずだ。

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