隊員の活動は上手くいかない

活動編

・活動はうまく行く方が珍しい
・どこまで割り切って活動出来るかが重要

隊員の活動だが、それぞれの隊員が派遣される前に思い描いていたような活動が出来、望むような結果が得られる事例はほとんどない。麻雀で例えると上がるなんてとんでもなく、リーチすら出来ず活動終了、といったような例がほとんどだ。当欄では様々な隊員から聞いたあるいは自身の経験を元に協力隊員の活動が上手く行かない理由を考えてみる。

そもそも隊員が求められていない
協力隊員の案件をHPで見てみるとよく「「〇〇を指導できる人材が求められている」という風に書かれているが、実際は隊員が求められた存在でない場合が非常に多い
・日本政府の組織が二年間無償で隊員を一人送って現地人と一緒に働いてくれる
・必要な物があればJICAが買ってくれる場合もある
などと途上国の学校や機関に打診すれば現地の人は「来て欲しい」と言うに決まっている。隊員の派遣は各国事務所が営業のような形で派遣先に打診している事が大きな原因である。そもそも隊員が派遣される時には隊員の応募を要請した当事者は既に離任しており、隊員がどのような目的をもって派遣されているのかを全く理解していない職場がほとんどだ。そんな職場に派遣されても隊員の活動がうまく行くはずがない。

派遣先のモチベーションの低さ
隊員が派遣されるような職場はほとんどの場合、「イケていない」職場がほとんどだ。抽象的な表現だが、例えば学校だとそのエリアで学力が最底辺レベルであったり、行政機関だとそもそも働くべき人が来ていなかったりスマホをずっと触っている、といった具合だ。私の先輩隊員は行政機関で働いていたが、上司にあたる部長が平日朝8時に勤務開始にも関わらず月曜日のみ13時頃に出勤していた。理由を探ると単身赴任しており、週末は家族の元に帰り月曜日の朝に家族の元を出発するため月曜日のみ遅刻していた。しかし部長だけに周囲の職員は何も言えなかったそうだ。家族愛は良いと思うが、日本なら間違いなく懲戒解雇レベルである。
 学校の例だと日本でいう開成高校や灘高校のような学校には隊員は派遣されない。みなさんがお住まいの地域で「名前さえ書けば合格する」と噂されるような学校を思い浮かべて欲しい。隊員が派遣されるのはそんな学校ばかりだ。そういった学校では現地教員が授業開始時間に授業を始めなかったり、仮病で休むなどは頻回に起こっている。行政機関や病院においては業務改善をしても給料が上がらない、業務改善によって仕事に掛ける時間が短くなってもその時間を有効活用する必要がない、などの理由で意欲が低い人が多い傾向にあり、そんな人々に業務改善を提案しても受け入れられる訳がない。

現地人(アフリカ人)のプライドの高さ
前項で説明した内容と相反するようだが、アフリカ人はプライドが非常に高い間違いを指摘しても嘘を並べてごまかそうとするばかりで、物を拾ってあげても「ありがとう」を言わない人がとても多い。つまり「無能のクセにプライドが高い」という訳だ。中には謙虚で低姿勢な人もいるが、日本よりは比べられないぐらい少ない。この背景には子供の頃から間違いを犯すと体罰などの単純な罰だけを受けて来て「何故間違いなのか」を考える機会が非常に少なかった事が影響していると同期から聞いた事がある。例えば学校で子供がテストで悪い点を取った場合「宿題をさぼっていた」「授業を集中して受けていなかった」から叱るのではなく「悪い点を取った」というだけで体罰などを加えられ、悪い点に至ってしまった過程に対する指導を受けてこなかったという事だ。よって間違いや失敗を指摘されると素直に反省できず、言い訳に終始する。そもそもアフリカではトップダウンの傾向や高齢者を敬う傾向にある。隊員の平均年齢は30歳を下回っており、現地の40歳に日本から来た25歳の隊員が物申して行動を改めさせるには無理がある。そもそも隊員が業務改善のために何か行おうとする事は遠回しに「あなた達がしている仕事は生産効率が悪い」と言っているようなものだ。アフリカ人にはこういった隊員の活動や提案を素直に受け入れようとしない人がとても多い

このような隊員が活動する上での障壁は隊員なら必ずぶち当たってしまうものだ。中には信頼関係を少しずつ築きながら技術移転に成功する隊員もいるが、ほとんどの隊員は隊員が去ったあとにも隊員の活動が継続されるような技術移転に失敗して帰国する。「自分の言っている事は正しいはずなのに」「なんでこいつらは私の言う事が分からないんだ」と負の感情を持ち続ける事は精神衛生上、非常に良くない。上記のような経験をした場合には言い方は悪いが「アホなこいつらに私が言う事が分かる訳がないか。そんな事をしているから給料が安いままなんだよ」ぐらいに思えるようにならないと身が持たない。こういった考え方に至るまではしばらく時間が掛かるが、完璧主義の方はどうか肩の力を抜いて活動して頂ければと思う。

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