春と秋にホームページで案件公開される予定日が発表される。おおよそ4月と9月に案件がホームページに掲載される場合が多い。その数週間前にプレエントリーが出来るが、このプレエントリーはしてもしなくても問題ない。応募に必要な情報を入力するだけ(氏名や住所などの基本情報)で案件の先行公開はされないため余裕のある人だけで構わない。
締切日前には
・応募用紙を複数枚(学歴、希望案件、志望動機、簡易な職務経歴書)
・語学試験の結果証明書(英語や仏語など、TOEICを提出する人がほとんど)
・健康診断結果
・問診表
を提出しなければならない。
応募用紙は履歴書の内容に加え希望する案件、志望動機を書いて数枚提出する。第1-3希望まで記入する欄があるが、備考欄があるため書こうと思えば第4,第5と書くことが可能だ。私は選考に応募した時は何が何でも一回で選考通過したかったため備考欄に「自分の能力で通用するのであればどんな案件や国でも働きたい」と記入した。人によっては「〇〇の案件(あるいは国)でしか働かない」などと書いて合格した人もいたようだ。この応募用紙に加え、一定の語学力を証明する書類を添付する。英語圏の応募でなくてもTOEICの結果を添付することができるため大きな問題はない。TOEICの点数は最低330点で選考応募できるため、苦手な方でも事前に学習すればクリアできるはず。このTOEICの点数が高ければ英語圏の国の案件に通りやすくなるのでは?と思っていたが、私の隊次ではそういった傾向は見られなかった。ただ、希望案件の公用語がA語とB語でA語がメイン、かつA語の語学検定で好成績を収めている場合は「あなたはA言語のスキルは十分あるから訓練はB言語を学習してください」という事を面接で伝えられた隊員もいたので全く無関係ではないと思われる。ちなみに私はTOEIC700点ほどで選考に通過したが、任国に派遣された同期の中では私の点数は最低レベルで海外留学経験がないのに800-900点代を取っていた同期や先輩後輩がたくさんいて驚いた記憶がある。
健康診断結果、問診票は「医療が充実していない発展途上国で二年間過ごす事ができるか」を判断されるための審査である。別記事に書いているが、隊員が派遣される勤務地は「1時間以内に病院にアクセスできるかどうか」が一つのベースになっている。しかしながら
「アトピーがあるため定期的な軟膏処方が必要」 「喘息があるから月一回の受診と吸入薬の入手が必要」 「糖尿病のためインスリンの定期接種が不可欠」
といった方は選考で落とされる可能性はほぼ100%と言って良い。訓練所の同期の中では慢性的な内科的・外科的な持病を持っている人はいなかった。アトピーがあるけど軽度だから応募したいがどうか、などと選考前にJICAに聞いても「医師の判断によるため何とも答えられない」ぐらいの返答しか得られない。持病を隠して万が一派遣後に症状悪化すると満足な治療が受けられないばかりか派遣中止の可能性すらある。JICAが指定する健康診断の内容は公開されているためHPを参照頂けると分かるのだが、一般的な健康診断とほぼ変わらない。特徴としては血液型の検査があることだろうか。最寄りの健康診断を実施している医療機関にデータを送って、指定する内容で検査できるか確認した上で予約することをお勧めする。この健康診断費用は補助があり、当時は一律五千円の支給があった。不合格の場合でも支給はある。一般的な健康診断を行う施設で受診すれば費用は1万~1.5万円ほどなので手出しは発生する。
ここで注意してほしいのはこれまでの採血でいずれかのデータが正常値を逸脱していた方だ。私の場合は肝機能のデータが正常値より15%ほど逸脱しており、第一次選考の合格通知後に「〇月〇日までに△の項目を再検査し、郵送ください」と通知を受けた。通知を受け取った日から指定日まではおよそ一カ月あったため、必死に健康的な生活を送りなんとか正常値まで改善することが出来た。検査機関により正常値の範囲が微妙に異なり、JICA指定の様式は若干厳しめの正常値範囲だったため注意が必要だ。私は選考応募書類提出期限の3カ月前にBMIが26強の軽度肥満だったため、ジムに週五回通い、魚や野菜ばかり食べる生活を送り万全の状態でデータをJICAに送る更に一カ月前に事前チェックとして採血を受けた。しかしジム運動の翌日に採血を受けた影響か肝機能がかなり悪化しているようなデータが出てしまった。激しい運動の翌日は検査結果で不利な結果が出る可能性があるため、検査5日ほど前からはジムトレーニングやランニングなどの激しい運動を避けることを強くお勧めする。前回の採血から日が空いている方は近くのクリニックなどに相談して事前に検査をしてみると良いだろう。初診でも採血込みで2-3千円で済むし、結果も3日ほどで知る事が出来る。裏技的には献血でデータを知る手もあるが、これは結果受取まで時間が掛かる上、献血から実際に健康診断を受けるまで日を開けないと結果で不利になる可能性があるので注意してほしい。
なお追記になるが、選考を受けるにあたってタトゥーがある方は選考を受ける事が出来ない。政府の税金で派遣する手前、反社会的なイメージが根強いタトゥーがある者はさすがに隊員として支援出来ないと言う事なのだろう。仮に隠して選考に受かっても現在は200人近く集まる訓練所の生活でタトゥーを隠し続けて二ケ月ほど生活する事は困難だ。またLGBTの方は「選考前に相談して欲しい」とJICAホームページに書かれているが、途上国でマイノリティとして生きていくのは苦難を伴う。同性愛そのものがタブー視されていたり、あるいは犯罪として扱われている国があるからだ。現在は当該ブログは削除されているが、かつてLGBTの隊員がアフリカに派遣されたがその事実を隠して生活しようとすると現地人の「結婚してないの」「いつ結婚するの」「現地人と結婚しなよ」「子供は何人欲しいの」などとデリカシーのかけらもない会話を現地人から何度もされ、ストレスに耐えられず任期短縮した例を知っている。選考に通る事は可能だろうが、ただでさえ辛い二年の途上国での生活がよりしんどいものになりうるとお伝えしておく。