・収入減
・二年間のキャリアを世間に認めてもらえない
・強いストレスが掛かる生活を二年間送る必要がある
別記事でJOCVのメリットを説明したが、もちろん協力隊に二年間参加することによるデメリットもある。当記事ではそのデメリットについて述べたい。
1.訓練期間から任期終了までの収入減
協力隊参加をするためには約二ケ月の語学訓練に参加する必要があり、協力隊員として任国に派遣される二年間を加えると2年と数か月の間収入が減る。現職参加の場合、訓練期間から任期終了までちょうど二年間となり任国に滞在する期間は1年8か月程度になるが、休職しての参加あるいは会社員などを退職して参加する場合はそれ相応の収入減を覚悟しなければならない。私の場合、任国で支給される生活費+支給される家賃+日本口座に振り込まれる手当の合計は年150万ほどで訓練期間から任期終了までの間、看護師として働いていた年収と比べると半減以下になっていた計算になる。退職して協力隊に参加し、任期終了後には職が決まるまでの期間は人それぞれだが、任期終了間際に就活サイトなどで応募しようと思っても必要な書類を任国では揃えられず、帰国後すぐに新たな仕事に就く事は現実的ではない。すぐに大学院に進学したり、帰国前から就職を決めている隊員はいるが多くの場合は三ヵ月から半年ほど掛かっており、その間も収入減となる。他のブログでは「二年で振り込まれるお金に手を出さなければおよそ200万溜まる」などと書かれているが、実際は少額とは言え携帯回線維持、サブスク、奨学金(これは任期中に払わない事は可能)、任国外旅行に掛かる費用などで丸々任期中に振り込まれるお金が残る事はまずない。協力隊に参加しようとしている方は任国赴任前に可能な限り貯金をしておくことをお勧めする。
2.派遣期間中のキャリアが世間に認められない
現職参加の隊員が「もし二年間日本で働いていたなら昇格のチャンスはあったが、任期の二年は日本で働いている二年と同じようには会社に認めてもらえない。もちろんそのデメリットを受け入れて参加したのだが」と教えてくれた事があった。私ももし退職せずに働き続けていた場合を想像すると日本での昇格や昇給の機会があったため、協力隊員の二年間は転職のきっかけにはなり得ても日本でのキャリアアップには必ずしも繋がらない。退職して協力隊に参加し、帰国後に就活をすると協力隊員としての二年間は実務期間と見なされず、経験年数として給料等が加算されない場合も聞いている。
3.途上国でのストレスに二年間耐える必要がある
途上国で二年間生活する事には大きなストレスを伴うものだ。ここでは割愛するが、おいしくない食事や差別、現地人のいやらしい性格や文化の中で生活を続ける事は非常につらいものだ。事務所側から仕事における明確な目標達成を強要されないためプレッシャーはないが、ストレスマネジメントは必須だ。
4.医療を十分に受けられない環境に二年住まなければならない
これは別記事に書く予定だが、途上国では日本で受けられるような医療が無い。JICAはホームページで健康管理体制について色々書いているが、万が一心筋梗塞や脳卒中のような日本に居れば救命出来る疾患でも途上国では高度医療を受けられる病院がわずかしかない。隊員のほとんどは首都に住まないので、急性疾患のリスクを避ける事が出来ない。また一時療養帰国という任国で検査や治療が出来ない隊員を公費で日本でそれらを受けさせる制度があるが、この制度を利用するのはハードルが非常に高い。JICA事務所も健康管理員も事なかれ主義なので、慢性的な症状が一カ月続いたぐらいでは公費での帰国は出来ない。
その他にも「パートナーと二年間ほぼ会えない」「好きなスポーツ観戦が時差の関係で出来ない」など人の価値観によっては辛いデメリットもある。選考に参加しようとしている時期や任国赴任前は期待が不安を上回り、協力隊の良い点しか見えない事はしばしばある。これから選考に進もうと思っている方はこの記事を参考に本当に参加するか考慮頂ければと思う。