・応募から任期完了まで三年以上掛かる
・協力隊の実態はイメージとかけ離れている
協力隊に応募しようする理由は人それぞれで「今後国際協力の道に進みたい」「子供の頃から憧れていた」「語学力を身に付けたい」などだろう。これから応募しようとしている方に経験者から厚かましくなるがアドバイスになればと思い、筆者の考えや経験談を述べたい。
応募から任期完了まで3年以上掛かる
協力隊への参加のためには選考応募⇒第一次と二次選考に合格する⇒語学訓練に参加する⇒任国で二年間活動する⇒帰国する、という流れになる。この選考応募から選考合格通知を受けるまでは半年間弱だが、選考合格から語学訓練参加まで数か月から隊次によっては1年ほど待機期間がある。語学訓練終了から任国赴任は1-2か月だが、任国での二年間を含めると応募から活動完了まで3年以上掛かる場合がある。筆者は合格から語学訓練開始まで約1年間の待機期間があったので、トータル(応募から日本帰国)で三年六か月ほど掛かっている。この問題点は応募当初の協力隊へのモチベーションを維持する事が難しい場合がある事だ。筆者は前職の看護師として働く事が嫌になり、語学力を身に付けるために隊員になったが、赴任して半年ほどで応募時のギラギラしていた意欲を完全に失い、アフリカの文化や食生活、アフリカ人の性格全てが嫌になってしまった。任期半ばで任期短縮を考えたが、任期短縮はキャリアを傷つけてしまうと考えてしまった事、毎日職場に行かずとも月額合計(現地生活費、支給家賃、日本口座への手当支給)で15万ほどの支給を受け取れる事から任期短縮におっくうになり、任期の後半を語学学習や筋力トレーニングに当てていた。活動終了し日本に帰った後のキャリアなど応募前には不覚ながら考えておらず、任期終了間際から帰国後しばらくは就職活動に対する不安があったものだ。日本での就職活動では協力隊活動の実績を勤務経験として認めて貰えない会社が多くあり、思ったように就活する事は難しい場合がある。
協力隊事業のいい加減さに赴任後にやっと気づいた
他記事でも述べる予定だが、協力隊事業の運営はずさんで筆者の派遣先の場合
「病院が5S改善をチームで取り組んでいるが、多忙さや人員不足から十分に活動出来ておらず隊員に活動のアクティベートを期待して要請に至った」と要請に書かれていた。しかし実際は
・5Sチームなど全く存在せず、活動も当然全く何もしていない
・病院スタッフの99%が5S改善の概念を知らない
・病院スタッフに隊員派遣に関する告知が全くされておらず、行く部署全てで最初の内は「お前は誰だ、何をしに来たんだ」と自分の役割を説明しなければならなかった
というひどいありさまだった。隊員要請をした当事者が私が赴任するとうの昔に異動しており、その際に引継ぎが全くされていなかったのが原因だが、その事実も事務所をほぼ分かっておらず事務所側の動きにも原因がある。他の隊員にも配属先スタッフに「お前は誰だ」という事を所属長以外のほぼ全員に言われた者はたくさんいる。アフリカ人はJICA事務所スタッフには良い顔をし、実際は隊員の受け入れ準備を全くしておらず、1労働力としかみなしていない派遣先が非常に多い。そもそも隊員は自分が求められた存在で派遣されると思っている。そんな隊員に対して派遣先で「何をしに来た」などと説明をしないと行けない事自体が協力隊事業の根幹を揺るがすような問題である。
協力隊参加の上で一番難しい事は技術移転をするだとか、健康で過ごすかではなく、モチベーションを保ち続ける事であると考えている。隊員参加を考えている方においては自分が派遣先でどんな仕事が出来るかより、派遣先で二年活動した後のキャリアに重きを置いて応募頂ければと思う。