JICAホームタウン騒動について元隊員が思うこと

未分類

JICAが第9回アフリカ開発会議(TICAD9)で公表した「JICAアフリカ・ホームタウン」問題がちょっとした騒ぎになっている。検索エンジンに「JICA」と入力すれば続いて「ホームタウン」という単語が上位に出て来るし、noteでJICAと検索すればこれまでは隊員の記事が多く表示されていたが、現在ではJICAに対する批判的な記事で一杯だ。私自身もJICA側を擁護する気は無く、批判的な意見に賛同しているが、最初に感じた事が

「いかにもやりそうだなあ」

という事だ。この問題の実際については当記事を見てこの問題を始めて知った人は少ないだろうし詳細はニュースサイトなどを参考にされたいが、「現地アフリカ人に特別ビザを発行する」といった内容や「Dedicate」(捧げるという意味を含む)という言葉が見出しに使われあたかも木更津や今治といった都市がそれぞれの国に捧げられる、といったパッと見でとんでもない内容が真実かのように現地で報道された。現在では「Dedicate」という言葉が削除されたりしているようだが、ナイジェリアやガーナに住む邦人はおそらく現地人にこの件を聞かれまくっている事は想像に難くなく、同情を禁じ得ない。

JICA側はこの発表をするにあたり、それぞれの国と正式な書面でのやり取りをせずに発表をしたそうだ。ちなみにJICAが途上国に隊員を派遣している事については正式な書面を持って契約を締結しており、途上国においても何らかの契約をする際に書面を持って締結する事は一般的である。一般的であると言うより当然と言って差し支えない。このホームタウン問題について姉妹都市という単語が「sister city」「twin city」などと存在するにも関わらずあえてホームタウンと称し、正式な書面のやり取り無しでTICAD会議で発表すれば事実と異なる報道が現地でされてしまう可能性をJICA側が考えなかったのかと思うと頭が痛いものだ。どのようなやり取りが実際にあったのかは現在の所報道されていないが、現地人(アフリカ側)が「こういった発表をすると言う事は我々の国の人も日本で働けるチャンスが広がると言う事か?」といった問いかけにJICA側がきっぱりと「No」と言わなかった事が原因と筆者は考える。そもそもこういったニュースが流れて以来各役所には問い合わせが殺到しているようで役所側からすればたまったものではないし、木更津や今治などに住む日本人の不安(もちろん住人以外も含むが)を煽ったという点ではJICA側の大きな失態である事に違いない。隊員としてアフリカに2年住んだ筆者の考えではアフリカに住む労働者階級の人材など言葉の壁以前の問題で、日本人と比べ圧倒的に怠惰で不誠実であるため必要ないと考える

JICAが途上国から人材を呼び寄せているのかという観点で書くと、JICAは研修生制度というシステムでアフリカのみならずアジアからも研修員を募り日本で研修を受けさせている。この研修生というのは時折問題になっている技能実習生レベルの人材ではなく、それぞれの国ではかなりの高学歴かつそれ相応の技術を持つ人材である。私も任国に住んでいた時に首都で日本で研修を受けたエンジニアと会い話した事があるが、彼はその国においては上位1%に入るほどの収入があるようだったし、誠実な人柄で「日本で研修を受けれて人生が変わった。本当に日本に感謝している」と日本での生活で撮った写真を見せながら話してくれた。この研修生はそれぞれの国で大学院を卒業していないと応募資格は無く、いくら税金が使われているとは言え人数はかなり少ないのでこのホームタウン問題とは切り離して考える必要があるが、JICA側が「国際交流」と称して日本に居る外国人に対する理解を深めよう、仲良くしようという活動は至る所で行っているのは事実である。7月の選挙で参政党が躍進したように日本に住む、来る外国人に対して不安を覚える人が増えている中でJICAの活動は右翼側の人達から批判の的になるのは至極当然の話である。

また、この問題に対してのJICAの対応も「いかにも」といったものでガッカリした。素直に「私どもがそれぞれの国としっかり話し合わず、正式な書面を持って発表をしなかった事が原因だ。各市や住民など多くの人に不安を与えてしまった事について大変申し訳なく思う。再発が無いように今後の対応についてしっかりと協議したい」などと発表すれば良いものの、ニュースのJICA広報のコメントやホームページには謝罪の意は無く「それぞれの国が勝手に発表しただけ。我々はそういった契約はしていないし、それぞれの国に対して発表内容の修正を求める」といった、迷惑を受けた人からすればふざけるなと思わせる対応だった。JICAのホームページを見て貰えれば分かるが、8月27日現在では謝罪の意を含む文面は一切ない。

私が日本に帰国して半年以上が経つが、夜間に街を出歩いたりバイクで走っていると明らかに東南アジア系の外国人が駅前のロータリーの縁石に座って集まっていたり、バス停前にある椅子に座って複数人で大声で騒いでいる場面を見てきた。私からすれば夜のドン・キホーテ前で騒いでいるヤンキー達よりタチが悪く見えるし、寛容な移民政策に反対するする人が増える理由が分かる気がした。ガーナやナイジェリアといった国から労働者階級を多数受け入れ、街中でちらほら見かけるようになったとしよう。夜間なら若い女性は間違いなく恐怖感を覚えるだろうし、治安悪化は目に見えている。私は移民政策には反対だし、隊員として国費で二年間派遣された身で何を言っていると思われるかもしれないが、隊員としての経験があるからこそどちらかと言えば左派と見られても仕方ないJICAの活動には帰国後一切関わっていない。

まとまりのない記事になり申し訳ないが、所感として記事を書いた。もしこの記事の内容に反対で「ガーナやナイジェリア、タンザニアの人を拒絶するなんでとんでもない」と思う人がいるならガーナやナイジェリア、あるいはタンザニアに3日でも良いので滞在してみると良い。私の言わんとしている事が理解できるはずである。

タイトルとURLをコピーしました